マンスリーゾディアック

 

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マンスリーゾディアックとは 日本語で言えば「毎月の12星座」です。

太陽の通り道「黄道」 そこには12個の星座が配置させていおり、毎月30度ずつ進んでおります。それを「黄道12宮」と言います。

そこの場所を太陽が通過するとき、「○○座」という表現になります。 (私の誕生日は○○座) マンスリーゾディアックでは毎月の太陽星座を見つつ、その星座に隠れている「教科書には書かれていない星座の事」をピックアップしてまいります。 どうぞお楽しみに☆

 

第1回【牡羊座について】

NOT FOR SALE Sugar

 

牡羊座といえば、よく「情熱的で、勇気と行動力に恵まれた、12星座一のパイオニア(英雄)精神の持ち主」とか、「恋であれ仕事であれ、常に目標に向かってひたすら突っ走る」なんてことが、占星術の教科書に書いてあったりしますよね。そしてそれを読んで、「ええと、これって裏を返せば元気なバカってことじゃないの?」と こっそり 思ってしまう人も、少なからずいることでしょう。(僕も月星座が牡羊座なので、仲良くなると実際そう思われます)

“バカ”というのは、ある意味で牡羊座の本質の一面をよく捉えているんですが、ただそれだけだと、どうしても「じゃあ、牡羊座は悩みとは無縁の単細胞ってことかな」といった、あらぬ解釈へとつながっていきかねない。それじゃあ、せっかくのバカもすたるってな訳で。ここらで少しだけ立ち止まって、「牡羊座的バカ」って一体何なんだろう?ということについて考えてみようと思います。

 

■遠い記憶を夢見る

落語に出てくる与太郎は、こいつバカだなぁ・・と誰もが思う典型でしょう。飾り気の全くない正直者で、世知に著しく乏しい彼は、どのお噺でも例外なく、なんだか「ぼんやり」している。だからとんちんかんな失敗ばかりしているんですが、本人はいたって呑気で楽観的なので、聞いている方はついおかしくなって、笑ってしまう。ふつう知恵遅れ的に解釈されるこの与太郎の「ぼんやり」に、どこか牡羊座的バカに通じるものがあると言ったら、意外に思われるでしょうか。

12星座は人の一生の各段階に対応しているという考え方では、牡羊座はまだ生まれたばかりの赤ん坊です。子宮という、羊水に満たされた暗黒空間(別の宇宙)で胎児として存在していた状態から、管をとおってこの世界へ躍り出てきた勢いを未だ残したままそこにいるのが「赤ん坊」で、彼らは何をしているかと言うと、まず第一に胎児の頃の夢をまだ見ているんです。

胎児は子宮で見る夢の中で、想像を絶するほどの歳月をかけた生命の進化の歴史をおさらいしているそうですが、解剖学者の三木成夫さんの言葉を借りれば、「この夢はふつうの夢ではなく、掌の上で“つまみあげることのできる”」夢で、「現実に触れる事ができる」ほどにリアリティーがある。
それを悪夢だといった作家もいましたが、僕はいい夢もわるい夢もあったと思います。いずれにせよ、誰もがもつ遠い彼方からの生命記憶を、胎児-赤ん坊は夢見ることで再燃させている。だから、そこから生まれてくるのは分かりやすい人間的感情なんかではなく、人間以前の生物たちの、とにかくコレがしたい、アレになりたいという純粋な衝動なんです。極端な話、それは虫と一緒。あるいは時に、進化の分岐過程で置き去りにされてきた種の生存衝動をひょいっと拾ってきちゃったり。つまり与太郎の「ぼんやり」というのは、そうした記憶の底からの衝動を呼び出し、自らに宿すための所作としての意味もある訳です。

■呼ばれて飛び出る

それから、赤ん坊は胎児の頃に見ていた生命の記憶を再度「夢見る」ばかりでなく、未来の方向から誰かに呼ばれ、それに「反応して行動」します。これが与太郎や赤ん坊のしている第二のぼんやり。例えば、アンパンマンや日曜朝の番組に出てくるヒーローものなどを思い浮かべていただくと分かりやすいと思うんですが、世界征服などの大きな目的や明確な標語を掲げ、たゆまぬ研究や組織努力を重ねる悪の組織に対して、大抵の正義の味方って、事件や問題が起こったのち、一報をきいて初めて飛び出していきますよね。そのため、彼らはつねに単独で突っ走るか、せいぜい少数の仲間が気付いて駆けつけてくれるくらいが関の山という、明らかな無謀さがどこかに漂っている。

つまり、牡羊座を行動に駆り立てているものは理屈じゃないんです。ドンキホーテも然りで、計画性にも欠けるし、どう考えても賢くはない。ただただ「呼びかけに反応している」だけ。では、それは一体誰からの呼びかけなのでしょうか?

この問いに関しては、18世紀末に盛んだった永久機関について取り上げてみましょう。永久機関とは、簡単にいえば外部からエネルギーを供給しなくても永久に運動を続け、外に対しても仕事を行い続ける装置のことで、実現すれば石炭も石油も不要となり、エネルギー問題など発生しないため、当時の科学者、技術者はこれを実現すべく精力的に研究を行いました。

現代から見れば、永久機関はとっくに「不可能」と証明されたものであって、今更取り上げること自体も物笑いの対象になりかねませんが、18世紀当時、開発や発明に着手していった人々(時計職人など)にとって、永久機関は「可能のシンボル」であり、さぞや牡羊座的なバカぢからを眠りから呼び覚ます一声として鳴り響いていたことでしょう。

結果的に、永久機関の開発は18世紀の終わりには純粋力学的な方法では実現不可能だということが明らかになり、さらに19世紀には熱を使った方法でも不可能であることが明らかになり、実現はできませんでしたが、熱に浮かされたバカ者どもの精力的な研究により熱力学と呼ばれる物理学の一分野が大いに発展したんです(wikipediaより)。さしずめ、彼らを呼んでいた声の主は、人類に火を与えんとした科学の神様かも知れませんね。

彼らと同様に、アンパンマンも、あれは危険をあえて顧みないのではなく、顧みることには興味がないし、できないだけなんです。ただ何者かに確かに呼ばれたから、飛び出していく。そして不可能を可能にすべくひたすら奮闘する。だからこそ、そんな与太郎ちっくなアンパンマンは「愛と勇気だけは間違いなくある」と周囲に思わせることにができ、訪れるピンチも度々救ってももらえるんですね。

夢を見るバカ、飛び出すバカ。足元ぼんやり、でも歩みは力強く。
そんなバカさ加減こそが、牡羊座の特徴であり、与えられた役割なのでしょう。

 

sugerSugar(シュガー)
1983年7月31日生。慶應義塾大学哲学科卒業後、ベンチャー企業の営業職を経て、より多くの人に占星術の面白さを伝えるべく、占い師の道へ。現在、対面鑑定・講座・執筆などを中心に活動中。男性占い師ユニットNOT FOR SALEメンバー。

 

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