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星*花メッセージ

こちらのコーナーでは 毎月の星の動き・星座のコラム、エンジェルメッセージをUPしてまいります。

星の動き・星座のコラムは 男性占い師ユニットNOT FOR SALEメンバーのSugarさんに、エンジェルメッセージはドリーン・バーチュー博士公認エンジェルセラピー・プラクティショナーⓇのMomokoさんに毎月更新していただく予定です。 お楽しみに!

 

【星の見晴らし 0415】〔その2〕

NOT FOR SALE Sugar

 

この冥王星が逆行すると、どうなるのか。

一つの解釈としては、社会の中で、また一人ひとりの人の中で、冥王星的なるもの=「支配」のシンボルが浮かびがっていき、何に自分は「既に支配されてしまっているのか」が問い直されるということ。あるいは、現在のすっかり支配下に置かれていることさえも忘却してしまっている状況を、どうにかして覆していく力を過去に遡り、そこから引き出すことのできる「もう一つの力の源」を探すことがテーマになってくることを表すのではないかと思います。

この逆行現象は、昨今の政府や電力会社による、原発を再稼動するという方針決定の流れを考えると非常に示唆的ですが、いずれにせよ、逆行とはけっして天体の影響力が「後退する」とか、はたまた「悪く出る」のものではありません。実際、逆行現象は地球からの見かけ上は逆行するように見えても、太陽系という「宇宙的なビジョンや視野の広がり」の中で見るならば、惑星の公転が逆行することはないんです。むしろ、惑星自体は必ず進んでいる。そのことを踏まえつつ、こちら側も、原発再稼動という流れに感情的に反応して右往左往するのではなく、その背後にある支配構造に注目し、しっかりと問い直していく必要があります。

ここまで見てきたように、今回の話は、冥王星=原発問題、土星=政府、太陽=個人の生き方、と置き換えると分かりやすいでしょう。その上で、土星の定めたルールの枠内で、どこまで冥王星の示す「見えない支配」を脱する生き方を選択できるのか、という問題が差し迫ってきます。

それには、一度思いっきり、ルールや制度の破れ目を探りまくってみること。やりたいことや選びとりたい選択肢があるのなら、それができない原因、選べない理由を調べまくった上で、抜け道を見出す他ありません。

そうして自分の運命やその被支配状況へきちんとぶち当たってみるという体験があって初めて、「勇気と断行」の火星がエンジンをいれ、逆行中の冥王星が本質的な目的を際立たせ、遠慮やリミッターが外れていくという、太陽が下旬に迎える邂逅もプラスに働いていきます。

というのも、火星や冥王星との120度での邂逅というのは、解釈的には「規定路線の強化」であり、またその際の太陽には、土星と向き合っていた時のロケットの「火」のような牡羊座的果敢さは既になく、牡牛座の影響下で、自宅のガーデンの「土」と向き合うような実直さを持って、与えられた自分のフィールドを守り耕すことになるから。

どんなにささやかでも、身近なレベルの「ぶち当たり」でも、いいんです。自らのガーデンに植えるべき種(脱支配の手がかり)を、土星との対峙の中から探り出すことができたなら、それはやがて作物として稔り、自らの生活を利するものとして収穫することができるはず。その際、なにも必ずしも前例のないことをやったり、新たなビジョンを自分で考え出さなければならない、と肩肘を張る必要はありません。むしろ、土星が表す過去の事例に依拠した経験や、ひもづく記憶を、半ば必要に駆られて思い出し、そこで垣間見える過去の失敗や未熟さという重みを引き受けていく体験が、逆説的に抜け道を見つけるヒントをもたらすこともあります。「進歩とは、およそ変化からなるものとはほど遠く、よき記憶力によるもの」であり「過去を記憶できない者は、罰として過去を繰り返す」(ジョージ・サンタヤーナ)。そうした視点も、どこか留意しておいて損はないでしょう。

鍵は、やはり「土星」の中にあり。それは、本当の意味での責任、あるいは社会貢献とは何か?を問いなおすことであり、その心は、誰のためになら自分は生きれるのか?その相手にとっての幸せとは何か?という点にありそうです。

補助線としての『紙の民』

最後に、今回の星の動きが描くドラマを読み解く補助線となるものとして、一冊の小説を挙げておきたいと思います。ざっと物語の概要を説明すると、小説の主人公であるフェデリコ・デ・ラ・フェは、メキシコで幸せな結婚生活を営んでいたんですが、妻の失踪をきっかけに、花摘み労働者としての生活を送り始めます。そんな中、フェデリコはある時、上空から誰かに見下ろされていることに気付き、それが「土星」であり、さらにその正体が「作者=サルバドール・プラセンシア」であるとやがて確信します。そして彼が自分たちの人生の行方を決定する権利を持っていることを知って憤り、自由を求めて立ち上がる、というお話。

以下、当の小説『紙の民』からの抜粋です。どこかに潜む「土星」をつかむヒントになれば。

“俺たちの運命をもう決めてるっていうのは誰なんだ、と俺は訊いた。フェデリコ・デ・ラ・フェは首を振って、はっきりとは分からないと言った。彼に言えるのは、それは空にいる何かか誰かで、姿を隠して、土星の軌道からのうのうと俺たちを見下ろしているということだった。その存在のせいで彼の妻は去り、永遠の悲しみが彼を苦しめ、火だけがそれを和らげてくれる。(中略)「たった今、俺がこれを話しているときも、俺たちは土星の物語の一部なんだ。土星に所有されてる。俺たちは見られて、聞かれてる。俺たちの人生が娯楽として売りさばかれてるんだ。でも戦えば、俺たちは主導権を手にして自分たちを守ることができるし、俺たちの人生を生きられるかもしれない」とフェデリコ・デ・ラ・フェは言った。”

 

sugerSugar(シュガー)
1983年7月31日生。慶應義塾大学哲学科卒業後、ベンチャー企業の営業職を経て、より多くの人に占星術の面白さを伝えるべく、占い師の道へ。現在、対面鑑定・講座・執筆などを中心に活動中。男性占い師ユニットNOT FOR SALEメンバー。

 

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