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しおひめの「和文化おもてなし」~人と文化がつながる時間~

 

第二回目「祈りの傘福」

 

 今回は、日本三大つるし飾りの一つ、山形県酒田市の「傘福」をご紹介します。傘福は、傘の先に幕を張り飾り物を下げているのが特徴です。地域の女性達の手作業によって一つひとつ丁寧に作られています。女性たちが作る小さな飾りには、家族の健康・幸せ・子供たちの成長を願う思いが込められています。傘福には、大根・人参・なす・メロン等、大地の実りに願いを込めて下げられた飾りと、宝袋・小槌・扇等、宝尽くしの飾りが下げられた傘福があります。さて皆さま、この飾りは、どの位の数があると思いますか?

傘の飾りを数えると、実は999個の飾りがあります。傘福の飾りの種類は約100種類あると伝えられています。飾りにも、一つずつ意味があります。いくつか例を挙げてみようと思います。

ねずみ…子供たくさん生まれますように。
俵…お米に不自由しないように。
タコ・イカ…豊漁祈願。
桜…美人祈願・富貴繁栄。
唐辛子…可愛い娘に虫がつかないように。
瓢箪…魔よけ・無病息災。
蔵の鍵…財産に恵まれますように。
巻物…智慧を授かりますように。
七宝…何事も円満でありますように。等

 

 

 

 

 

小さな飾り物一つひとつに、飾りに由来した願いが込められています。

鶴岡公園

 写真は、国登録文化財の「山王くらぶ」に展示されている傘福です。

 展示会場には傘福の他に、人形作家の辻村寿三郎さんの「さかたの雛あそび」と題した見事な人形の数々が展示されています。東北復興を願うつるし飾りもあります。受け継がれた着物に願いが込められた小さな飾りと千羽鶴が添えられています。この着物を拝見した時には、思わず胸が熱くなりました。復興を願う多くの人々の願いが込められています。

 傘福にも使用されている「傘」。この「傘」について少し触れてみようと思います。

 普段、私たちの生活にある「傘」は雨の日の必需品ですね。傘を広げると、多くの傘は、八本の骨組みによって支えられています。(中には骨組が多いものもあります)そして、その形は、八角形になっています。機会がございましたら、ご自宅にある傘を広げて見て下さいね。意外な形に氣がづきますよ。日本には「八角形を全宇宙に見据える」という中国から伝えられた哲学があります。八角形を宇宙に見立てるという考え方です。そうすると、私達が生活で使う「傘」というのは、ひとつの宇宙空間になります。雨の日は、傘をさしていつもと違う空間にいることが出来るので、私はそんな日を…「今日は特別な日かも?」と思って嬉しくなることが多々あります。もしかすると、私は…少し風変わりなのかもしれません。傘を「傘福」の傘に置き換えても同じようなことが言えると思います。

 「傘福」という一つの空間の中に、999個の小さな飾りが添えられています。私は、傘福という宇宙空間の中の999個の飾りは、星に見立てであると感じています。最初に傘福のつるし飾りを目にした時、私には…小さな飾りの一つずつが数多くの星のように、空から降ってくる星に見えました。天から大地の方向に下がった多くの飾りが願いの込められた星の数々の見立てと感じたのです。地域の身近な風習や文化を辿って行くと、天・星・月と大地の繋がりが見えてきます。伝統文化のかたちひとつ、意味のあるものとして今に受け継がれています

 「私たちの願いが、天に届きますように」人からの想いと、天からの声が届くように、傘福のつるし飾りのかたちがあります。

 傘福の小さな飾りに想いを込めて、共に生きる皆様の健康と幸せと未来を担う子供たちの成長を願います。 

山形県酒田市「山王くらぶ」にて

山形県酒田市「山王くらぶ」にて  しおひめ

 

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塩田 紀久代 (しおひめ)


*和文化おもてなし研究所 代表
*伝統文化むすび使・和文化おもてなしコーディネーター

 

1974年 山形県・鶴岡市出身。
幼い頃より父の影響を受けて、山村の年中行事に親しむ。
2006年 母の病気・他界を機に、約12年携わった
ショービジネスのマネージャー業からホテル・旅館業に天職する。
旅館の新規開業・再生事業を行う、おもてなし部署に所属する。
箱根・強羅温泉、静岡・修善寺温泉にて旅館業全般に携わる。
帰郷後、ホテルに入社。マネージャー職となる。
半年後には、ホテルが「ハイクラスの宿」となる。

 

和の文化を通して人と地域をむすび 社会にたくさんの笑顔をつくることを理念に
2012年10月「和文化おもてなし研究所」(商標登録)を開設。
子どもの着付け、女性のしぐさ。季節の年中行事を通して、
暮らしに生きるおもてなしの提案を行っている。
受け継がれた和の文化とおもてなしの心を未来につなぐ活動として
「見返り美人になって和のおもてなしを学ぼう」講座を開講。

 

2013年10月公開予定 映画「おしん」の制作に所作指導として映画撮影に携わる。

 

 

ホームページ http://wabunka-omotenashi.jimdo.com/

映画「おしん」公式サイト http://pr.livedoor.com/movie/oshin/